京の花街文化

インタビュー

祇園東 芸妓

つねかずさん

この道60年、ただ一途に

花街の世界に入って60年になります。でも正直なところ、舞妓さんや芸妓さんになりたいと思って、この世界に入ったんと違いますねん。小さい時から踊りが好きだった一つ上の姉が祇園東に芸妓で入ったので、時々、学校帰りに姉のいるお茶屋さんに遊びに寄って、お手伝いしていたんどす。姉のいる世界をもっと知りたかったのと、行儀見習いとしてもええやろな程度の心持ちで中学卒業して仕込みさんになりました。

つね和さん

すると1年経ったぐらいの時に、姉が突然結婚すると言って芸妓をやめたんどす。そんなら、うちもやめようと思ったんどすが、先々代のお母さんに「『石の上にも三年』の言葉知ってるか。うちも三年気張ってあんたを育ててみる」と言われて決心し、舞妓になりました。舞妓を5年間務めると今度は「襟替せんともったいない」と言われて芸妓になり、あれよこれよで今に至ってるわけどす。初めてのことばかりでしんどいこともありましたし、楽しいこともいろいろありました。6歳から踊りをしていた姉と違って、うちは仕込みさんの時ぐらいからのお稽古なので、舞妓さんに出るのが決まってからは猛特訓。お師匠さんの所から置屋に帰ってもお母さんやお姉さんから怒られながら教えられました。やはりこの世界は芸事には厳しおす。

つね和さん

温習会など舞台があるとお母さんは、うちの舞姿を見て、足元のさばき方やちょっとした所作も「なんやこの格好は」とか注意されました。観に来てくださるお客様に対して、自然と「頑張らなあかん」という気持ちになりましたね。お座敷ではさまざまなお方にお会いすることができますし、普通の暮らしでは味わえない経験できない世界を見ることができます。貴重な人生経験ができてほんまに良かったと思います。ずっと現役で頑張ってくださいとよく言われますが、うちは目の前のことをひとつずつ一生懸命やって来ただけどすし、今までどおり頑張りたいと思います。ただ、踊りや長唄の名前(名取)はいただいておりますので、自分で恥ずかしいと思うようなことが出て来るとやめなあかんかなぁと思てます。

つね和さん

最近の舞妓さんや芸妓さんはお座敷もお稽古事もようきばってはります。この世界は、あこがれだけでは続きまへん。芸事が好き、お三味線が好き、礼儀作法を身に付けたい。そんな気持ちも持って門をたたいてくだされるお人があれば嬉しおす。

つね和さん
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